瞳孔調節と眼精疲労

瞳孔径の調節は、虹彩によってなされます。虹彩は自律神経の影響を受けており、不安や緊張が状態では瞳孔径が大きくなり光を多く取り入れようとします。一方、リラックスした状態や眠い時は、瞳孔径が小さくなる傾向があります。

ですから、通常の光をまぶしく感じる場合は、無意識のうちに心身が不安や緊張状態となっており、交感神経が亢進して、瞳孔調整に不具合を来している場合が考えられます。

副交感神経交感神経
穏やかな開眼目をカッと見開く
近くを見る(安心視)遠くを見る(警戒視)
目を寄せる(輻輳)正面をまっすぐ見る(開散)
目が涙で潤う  余分な涙を減らす

さらに、瞳孔の役割は、光のまぶしさを調整するだけではありません。瞳孔か縮まることで、近くの小さな対象物が、ピンボケや歪みなく、シャープに見えるのです。これは、瞳孔径と焦点深度の関係です。目を細めると良く見えるのはなぜか?にもつながります。

カメラに接写(マクロ撮影)という機能があります。これは、近くの小さな物体にピントを合わせる機能です。その時、カメラのF値を大きくします。F値(focus)とは「絞り」のことで、レンズ内に入る光を調節する仕組みです。入口を広げる(F値小)と、光をたくさん通し、入口を狭める(F値大)と、少しの光しか通しません。

この原理は、人の瞳孔(虹彩)と似てますね。

そして、カメラで近くの物を撮影する場合、絞りが緩いほど画像はピンボケします。逆に絞りが強いほど画像はシャープになります。

人の目も同じです。近くにピントを合わせるためには、水晶体を厚くするだけでなく、瞳孔を小さくする必要があるのです。

皆様の中には、眼科の眼底検査で、瞳孔を開く目薬を差した後、数時間にわたりまぶしくて、ピンボケの状態が続くという経験をされたことたがあると思います。

あれは、虹彩の絞りが開放状態になりますので、「光が極端にまぶしい」、「近くにピントが合わない」ということです。副交感神経を麻痺させる点眼薬を使用しますので、瞳孔括約筋や毛様体筋が一時的に麻痺するためです。

ここで話を眼精疲労に戻します。スマホやPC画面を長時間、集中して見る場合、瞳孔はデスプレイが発する強い光の刺激を常に受けることになります。

そして、瞳孔の大きさを調節する瞳孔括約筋(平滑筋・副交感神経支配)や瞳孔散大筋(平滑筋・交換神経支配)は強い緊張を強いられることになります。

ここで瞳孔についてまとめておきましょう。

・男性より女性の方が瞳孔径が大きい傾向

・高齢者より若年者の方が瞳孔径が大きい傾向

・瞳孔は2㎜~6㎜位(+個人差)の間で変動します。

・対光反射は片目に光を当てても両目が縮瞳します。

・瞳孔は意識レベルの確認や病気の診断に有効

・虹彩の色や模様は指紋と同じで一人ひとり異なる。
 個人認証(虹彩認証)に用いられています。

瞳孔が小さくなる
縮瞳は、副交感神経(動眼神経)の働きで瞳孔括約筋が収縮し、瞳孔散大筋が弛緩します。
瞳孔が大きくなる
散瞳は、交感神経の働きで瞳孔散大筋が収縮して、瞳孔括約筋が弛緩します。ちょっとややこしいですが、括約とは閉めるという意味です。

重度の眼精疲労の患者さんの中には、光に対する瞳孔調節力が著しく低下している方が少なくありません。このようなケースでは、スマホやPC画面が「まぶしくて見ていられない」「ピンボケがひどい」という症状が生じる場合があります。

多くは、自律神経失調により瞳孔括約筋の機能が低下し、虹彩の絞りが不完全になり、まぶしさやピンボケ状態になるケースです。

逆に、瞳孔散大筋の過緊張というケースもあります。

同じスマホやパソコンを見る場合でも、「趣味で見る時」と「仕事で見る時」で、目の疲れ方が違うといことがあります。本来、近くを見る動作は、リラックスした時に行うものです。人は生理的に近くを見る時、副交感神経が働くようになっています。

皆さんも大勢の前で発表等をする際に、緊張で目や口が乾き、観客の姿に目がくらくらする、スポットライトがまぶしいなどの経験をしたことがあると思います。

そんな時、どうしますか?手に人という字を3回書く、なんてしたことがあるかもしれません。ただ、これは理にかなっています。

前述の通り、手元を見る行為は副交感神経を優位にし、緊張を和らげる効果があるからです。

瞳孔障害について

瞳孔の不具合は、片眼性か両眼性かを、まず考えます。瞳孔障害の原因には、交感神経性瞳孔障害、交感神経性瞳孔障害、混合性瞳孔障害があり、自律神経失調の他、外傷や様々病気に起因する場合があります。また、瞳孔反応が正常にも関わらず、光が異常にまぶしいというケースがあります。理由は様々ですが、角膜炎やブドウ膜炎、網膜疾患などがあげられます。

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