気はめぐり妊娠す、それ達人のなす技なり。
感謝の気持ちで日々治療に取り組んでいます。
早いものでオアシスはり灸治療院は、平成24年8月6日で開院3周年を迎えることができました。
ここまで歩んでこれましたのは、ひとえに皆様から頂いた温かなご支援のお陰様と感謝申し上げます。
スタッフ一同、皆様に最善の治療を提供できるよう更なる努力精進を積んで参りたいと思いますので、どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。
3周年のごあいさつに寄せて、当院が取り組んでおります不妊治療について紹介させて頂きます。
自律神経失調・うつ病を主訴に訪れたKさんの治療をきっかけに、
本格的な不妊症治療・不育症治療への取り組みを開始。
42歳のKさんが初めて当院に訪れたのはちょうど1年前でした。自律神経失調の治療を始め、7回目の治療を終えた時に、体調を大きく崩した経緯を涙ながらにお話し下さいました。
「これまで8年にわたり不妊治療を受けてきたが妊娠には至らず、3か月前の体外受精を機に妊娠をあきらめました。」ということでした。今までに10回の人工受精と8回の体外受精を受けられ、1回は着床したものの反応が薄く、妊娠には至らなかったとのことでした。
当院では、すでに同じような体験をされ44歳で妊娠した方などの治療経験がありましたので、「まだ妊娠を完全にあきらめる必要がない」旨をお話しました。ご本人自体の精神的な落ち込みがひどいため、まずは全身を整える治療を継続しました。
治療開始から5か月がたった頃、Kさんは「自分の身体の変化」が解るようになってきて、「身体の芯があたたかくなり、夫からは肌がつやつやしてまるで別人のようだと言われた」とおっしゃるようになりました。
そして、「今までとは何かが違ってきている、もう一度体外受精にチャレンジしてみたいと思います。」と、まっすぐな眼差しで、内なる決意を語ってくれたのは治療開始から7か月目のことでした。(この日の治療は一生忘れません。今から言えることですが、Kさんを触診した感じから、妊娠可能な身体になっている、と確信がありました。ご自身でも、この半年大変な努力をなさったのですね。)
それから採卵までの2か月は、3日に1回のペースで当院の治療を受け、胚移植当日から毎日1週間連続で治療を受けるという、治療効果を最大限に考慮した計画を立てました。また、自宅でも毎日ご自分でお灸を行うように致しました。
体外受精は良質な卵子を得ることが第一関門となります。Kさんの場合はクラミット服用による卵巣刺激療法によって6個の卵子が取れ、そのうち二つが受精に至りました。卵子のグレードは通常よりも2段階良いもので、以前との違いに担当の医師が驚いていたということでした。
採卵から4日後に移植となりました。Kさんは「今回が最後の最後、この日のために出来ることはやりました。結果はしっかりと受け止めたいと思います。ただ今回は、自分の身体が今までと何かが違う。」とおっしゃっていました。
胚移植後は、着床確認→胎嚢確認→心音確認と、陰性か・陽性かを天に祈るような日々が続きます。
Kさんからは幸い、着床確認、胎嚢確認、心音確認と次々に嬉しい報告を頂きました。
Kさんが治療中、以下のようなことをおっしゃりました。
「病院で受ける高度生殖医療は極めて高いレベルまで来ており、私自身も体外受精を受ける毎回、あともう少しで妊娠に至ったのに、という感覚があった。しかし、同時に、わずかに身体のなかに足りないものがあることも感じていた。
妊娠できるか、できないかは、ごく僅かな差なのだと、今でも思っています。これまで、その差が何かわからず、苦しい思いをしてきました。」
また、
「最新の不妊治療は、検査データや治療効率を重視しすぎる傾向があり、何回も受けていると、新たな生命を育むという尊さがマヒしてきてしまうのです。そして、自分の身体をどこかなおざりにするような感覚になっておりました。時間はかかりましたが、小宮先生とお話ししていくうちに、妊娠に向けて身体を整えることの大切さ、そして、何より自分の内に秘めらた生命力を信じられるようになったのです。」
とおっしゃっておりました。
多くの有名人も経験している不妊治療。
体外受精などの高度生殖医療は、自然妊娠では子供を授かることが困難な夫婦にとって、大きな助けとなっています。
一方、成功率の低さや費用の問題などもあり、不妊に悩む夫婦にとって精神的、経済的な負担は大きいものです。
Kさんのように、体外受精を何回も受けているが妊娠に至らない方、着床しても胎児が育たず流産を繰り返ししまう方、など何年もの間、不妊から抜け出せないで苦しんでいる方は少なくありません。
私たち鍼灸師の使命は、「お子様をご希望される方に対して、妊娠しやすいように身体を整えるお手伝いをする」ことです。
少し視野を広げて、鍼灸の歴史に目を向けてみますと、はるか昔から鍼灸は不妊という大きな課題に取り組んで参りました。子供が生まれなければ国が亡ぶ、とまで言われた時代がありました。いわゆる世継ぎ問題です。現代のような高度生殖技術がなかった時代、鍼灸は歴史の裏側で、難解な不妊治療に取り組んできたのです。
妊娠に至らず苦しんでいる方で、これまで鍼灸による不妊治療をお受けになった経験がない方は、ぜひ一度ご相談ください。
院長 小宮麻友美 開院1周年のごあいさつ
かつての私(1)~九死に一生を得た病気の経験~
今では、一日20名近くの患者さんの治療を担当させて頂ける程に、心身ともに気力にみちておりますが、これまでの歩みは決して順風なものではありませんでした。
8歳の時、薬の重篤な副作用によって、生死をさまよう大病を患いました。奇跡的に一命を取り留めましたが、目に重い後遺症が残りました。また、PTSDにも長い間、悩ませるようになりました。
以来、日常的な痛みと、視力を失うことへの不安の中で生きて参りました。
時には、なぜ自分がこんなめに、と心を病むこともありました。
かつての私(2)~心の病との闘い~
20代のころ、重度の自律神経失調症、うつ病のため、一日の大半をベットの上で過ごすという時期がありました。
不眠、耳鳴り、めまい、頭痛、動悸、全身疲労で立ち上がることもできませんでした。
また、あせり、不安から、休んでいても心が休まらない状態が続きました。
もちろん、病院で検査しても異常は見つからず、医師より心療内科の受診を勧められました。心療内科では、睡眠薬、向精神薬による治療を受けましたが、一向に良くなる感じはありませんでした。それどころか、薬を飲み続けることへの不安、そして副作用に対する懸念から、さらに体調を崩し、最終的には1日15種類もの薬を服用するという日々が続きました。いわゆる「重度のうつ病」の状態でした。
鍼の”チカラ”~鍼の効果を自らが体験~
先が見えない生活の中、知人より鍼治療でうつ病が良くなったという話を聞き、実際にその鍼灸院を紹介してもらいました。その先生こそ、経絡治療の大家であり、我が師であります。鍼治療との出会いがあったからこそ、今の私があると言っても過言ではありません。
その鍼灸院は遠方でしたが、週に3回、通い続けました。はじめは電車に乗ることも億劫だったので知人が車で送ってくれました。しかし治療を受けた帰りは、不思議と活力が湧いてきて、電車で帰宅できる状態となっていました。
治療初期は一進一退の状態でした。
少しづつですが、夜も眠れるようになって、食欲も沸いてまいりました。
薬の量も徐々に減り、1年あまりで薬なしで生活できるまでになりました。
自律神経失調症、うつ病治療における第二の選択肢としての鍼治療
うつ病治療=向精神薬と考える方も多く、実際の医療現場では心の病気に対して、多種多様な向精神薬が用いられています。薬物療法の効果は十分に理解できますが、薬を使用することなく症状を改善できたら、また少量の薬で済むなら、と思われる方は少なくないと思われます。自らの「うつ病克服体験」や「患者様の治療経験」から、鍼治療は、自律神経失調症やうつ病を改善する第二の選択肢として有効であると、確信しております。
目の病気で辛い思いをしている皆様へ
私の眼から涙は出ません。シルマーテストという涙の量を調べる検査では、両目とも0mmという結果です。いわゆる最重度のドライアイですが、8歳の時の病気で角膜がダメージを受けたことで、徐々に視力が低下し、視覚障害者として外出時には白杖がてばなせません。
鍼灸師を志す道すがら 少しでも涙が出るようになったら、少しでも目が見えるようなったら、という思いで、まずは自分の目で研究を行って参りました。結果的に3分に1回は必要だった点眼が、治療後は30分に1回の点眼で済むようになりました。目の表面のヒリヒリ感も緩和して、目を開けていられるようになりました。視力に関しては角膜に強い混濁があるため著しい改善は得られませんが、それでも治療後は視界が明るくなり物が見えやすくなる感じが得られます。
目の治療は、自らが考案し自分自身の目で効果を検証して生まれた治療です。目に対する本格的な鍼治療を行っている鍼灸師が少ないこともあり、これまでに延べ2000例以上の患者さんを治療してまいりました。目のことでお困りの方は是非一度ご相談ください。
今後とも、患者様お一人お一人のご期待に添えるよう治療技術の向上に尽力して参りたいと思います。そして、患者様と、苦しみも喜びも共に分かち合えるような鍼医を目指して日々研鑽を重ねてまいりたいと思います。どうぞ今後とも宜しくお願い致します。
平成22年8月7日