まずは病院を受診することが第一です。
ここからが、私たちの提唱する「眼精疲労ケア」の出番です。
眼精疲労は複合的な原因が問題
目の酷使や眼病によって生じた眼の不具合により、目首肩背中に広範囲な「コリ」が蓄積し、首(頸椎)や脳(精神)に負荷が生じた状態。目の機能不全や、頭痛、めまい、身体の痛み、自律神経失調症、睡眠障害、慢性疲労などを来す。それらはメンタル要因や環境要因の影響を受け悪化し、さらなる悪循環に陥る。
→眼精疲労スパイラル
眼精疲労の5大要素
目の不具合(視覚疲労)
首肩のこり(頸椎疲労)
自律神経失調(脳疲労)
メンタル要因(精神疲労)
生活環境要因(環境疲労)
眼精疲労を来す目の不具合とは
眼精疲労はコリの病(やまい)
小宮式は、目の酷使によって、広範囲に生じた「筋肉のこり」「神経疲労」「血流不全」に着目しています。そのため、鍼で「こり」を取り除いていくことが最大のポイントとなります。よく鍼灸師の方に、「こりに鍼をする治療(標治法)で病気が治るのか?」という質問を受けます。しかし、小宮式では、眼精疲労治療において、視機能の足枷となる「種々の筋肉のこり」を取り除くことが回復の早道と考えています。
眼精疲労は心の病(やまい)
→眼精疲労とメンタルケア
眼精疲労は環境病
では、なぜ目を酷使すると、目の周りや首肩が凝るのでしょうか?その鍵となるのが「目で物を見るの仕組み」です。
一般的に私たちが物を見る過程は3つに分けられます。第一が、瞼を開け、角膜・水晶体を透過した光を網膜に収束させる段階。第二が、網膜細胞により光が電気信号に変換され脳に送られる段階。第三が、脳で電気信号を画像として処理する最終段階です。
このうち、第一段階では、脳が最適な画像処理を行えるように、目や身体の様々な筋肉による協調運動が行われます。
・瞼の開閉(光量調節や涙液調整)
・ピント調整(毛様体筋)
・瞳孔調節
・眼球運動(寄せ目・向き目)
・眼輪筋と眼瞼挙収縮による集中・固視動作
・頭部(視線)を固定する姿勢保持筋(首肩部)
・体幹を固定する姿勢保持筋(腰背部)
これらの筋運動は、神経によって制御され、血液により栄養供給を受けています。目を酷使することにより、視機能を支える筋肉に労作性疲労が起こります。そして、血流や代謝が不足した状態引となります。
つまり、眼精疲労は、目の酷使によって、慢性的な筋疲労が広範囲に起きている状態であり、私たち鍼灸師は、筋疲労を「こり」として触知します。尚、毛様体筋や眼外筋などは触知できませんので、それらの「代償性のこり」を探し当てアプローチします。
視機能を支える、これらの筋肉が疲労を起こすと、脳が上手く画像処理を行えなくなります。その結果、脳に余計な負荷がかかります。いわゆる、視覚性脳疲労の状態(神経疲労)となります。これが重度眼精疲労や自律神経失調症の原因です。さらに精神的ストレスが加わると難治性となります。
眼精疲労とは何か?(小宮モデル)
目の酷使や眼病によって生じた眼の不具合により、目首肩背中に広範囲な「コリ」が蓄積し、脳(精神)に負荷が生じた状態。目の機能不全や、頭痛、めまい、身体の痛み、自律神経失調症、慢性疲労などを来す。
つまり、鍼灸治療によって、眼精疲労で生じた「種々のコリ」を取り除くことこそが、結果的に患者さんの目の辛さの解消に繋がる。それが、小宮式の治療概念です。
目の酷使によって生じるコリのポイント
PC作業やスマホによる眼精疲労では、多くの場合、以下の部位に「蓄積したコリ」を触知できます。小宮式では、これらの部位に「コリの核」を見つけ、そこに鍼を打つことが基本となります。
基本治療治療(基本穴)では、目の周り・前頸部に左右で16本の鍼を打ち、背部にも同じく16本の鍼を打ちます。そのうえで、症状が重い場合は鍼を追加します(追加穴)。また、眼病治療を合わせて行う場合は特効穴にも鍼を行います。
鍼を打つ場所は経穴を目安にしますが、あくまでコリを取り除くのが目的なので、しっかりと触察を行い、狙いを定めて鍼を打ちます。詳細は第六章に譲ります。